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急性冠症候群ガイドラインNew!
班長:木村 一雄 -
慢性冠動脈疾患診断ガイドラインNew!
班長:山岸 正和/玉木 長良 -
冠動脈疾患の血行再建ガイドラインNew!
班長:中村 正人/夜久 均 -
心筋症診療ガイドラインNew!
班長:筒井 裕之/北岡 裕章 -
不整脈非薬物治療ガイドラインNew!
班長:栗田 隆志/野上 昭彦 -
心疾患患者の妊娠・出産の適応,
管理に関するガイドラインNew!
班長:赤木 禎治/池田 智明
日本循環器学会が出している複数のガイドラインが、2018年版に改定されています。皆で内容を確認していきましょう!『急性冠症候群ガイドライン』においては、①AMI診断における心筋バイオマーカーのうち心筋トロポニンが望ましいこと、②経時変化が重要なこと、③SpO2 90%以上の患者に対してルーチンの酸素投与は推奨されないこと、④冠攣縮性狭心症で心筋梗塞が起き得ること、⑤その診断アルゴリズムなどが、今回のガイドラインで明記されています。『不整脈非薬物治療ガイドライン』においては、①症候性心房細動のフローチャートや②アブレーションの適応などが変更になっています。詳しくは以下のサイトを参考に!
- 米国ガイドラインでは、急性期血圧が「185/110 mmHg」を超える場合「180/105 mmHg未満」への降圧を推奨しています。しかし、これらはRCTの結果に基づくものではなく、至適降圧目標値は明らかではありませんでした。
- そこで、収縮期血圧の降圧目標を「1時間以内に130~140 mmHg」とする早期積極降圧と、ガイドライン推奨の「180mmHg未満」を比較したENCHANTED試験が実施されました。
- 結果、早期積極降圧による「90日後の機能的自立度』の有意な改善は認められませんでした。また、重篤有害事象のあった患者はそれぞれ19.4%、22.0%と同等でした。この問題に関する最初のRCT検証であり、患者の大半はアジア人です。集中的な血圧降下は脳内出血リスクを軽減させる可能性はあるものの、機能的アウトカムに有意差はありませんでした。
- ただし、1)両群の血圧差が小さかった、2)血管内治療の施行率が低かった、などを挙げ、至適降圧目標についてはさらなる検討が必要だと述べています。また、現在、大血管閉塞/血管内治療例のみを対象としたENCHANTED2試験を計画中です。
論文のポイント(グループコメント抜粋)
- 血圧をターゲットにした研究は外傷などでもよくありますね。メインアウトカムに差が無い・・・こういう時に見るポイントは2つ。
- 1つ目は実際の血圧の値。目標血圧は違うけど、これを見ると150くらいに両群持っていっていますね・・この辺りなんでしょう・・低すぎでも高すぎでもない。
- 2つ目は、サブグループ解析。実臨床に役立てるある特定の群があるかどうか・・これを見るとあまりなさそうですね・・・。
- 2018年のJAMAより、飛行機内急変対応を確認!英語ではIMEs(In-Flight Medical Emergencies)。医師であっても自信がなければ対応する必要はありません、特に飲酒中はやめておきましょう。専門的治療のために行き先を変える際にも、着陸前に燃料を減らすなどの時間的制約があります。また、行き先の変更には2万〜72万ドル (240万〜8640万円)の経済的影響があるとされており、リスクとベネフィットを勘案しなければなりません。そして、今回特に強調されていたのは、地上の医療スタッフの活用ですね。
- これまでに飛行機内急変対応IMEsを扱ったReviewは数多くありますが、今回はIMEsの鑑別上位12項目を、その頻度とともにそれぞれへの対応を載せていることに特徴があると思います。某文献サマリー配信サイトでは、これらの情報を無料で公開しないJAMAをディスっており、最終的に無料アプリ「airRx」をおすすめしています。最後に、JALとANAで搭載されている医療機器内容を載せておきます。
- デング熱は4種の血清型に分けられますが、異なる血清型に対する交差防御免疫は数カ月で消失します。そのため、デング熱には2度以上感染することがあるのです。
- また、重複感染時は重症化しやすいといわれています(デング出血熱)。
- 治療は対症療法が基本で、4類感染症のため報告義務があります。
- サリチル酸系のNSAIDsは出血傾向やアシドーシスを助長するためアセトアミノフェンを使用しましょう。2015年にはメキシコでワクチンが認可されており、日本でも第Ⅲ相試験のTIDES試験が行われているようです。引き続き、頭の片隅にデング熱。
- フロセミドはAKIを引き起こす?→No
- 補液併用は高リスク患者のAKIを予防する?→多分No
- フロセミドはAKIに禁忌である?→No
- フロセミドは腎臓機能を促進させる?→No
- アルブミンとの併用はより効果的?→Case by case
- 持続投与は間欠投与よりも効果的?→No
- フロセミドはRRTを予防できる?→No
- フロセミドは無尿患者のRRTを離脱させる?→No
- AKI後の利尿は完全な腎臓回復徴候である?→No
- 血清クレアチニン増加時は フロセミドを中止する必要がある。これは腎機能の悪化を示す?→そうとも限らない
①フロセミドはAKIを引き起こす。→No
- 一般的に利尿薬はAKIを引き起こす可能性があるとされるが、AKIの病因を明確に区別をしている研究はない。体液過剰な患者へのフルセミドは、腎うっ血や腎酸素消費量を減少させ、AKIを改善させる。
②補液併用は高リスク患者のAKIを予防できる。→多分No
- フロセミドと補液の同時投与は、hypovolaemiaを引き起こさずに利尿を増加させるという考えがあるが、実際にはCA-AKI 造影剤関連急性腎障害の予防のためのプロトコールであり、AKI全般に有用である根拠は乏しい。
③フロセミドはAKIに禁忌である。→No
- フロセミドは、AKI患者を含む体液過剰の患者に適応となる。また、フロセミドは、尿細管機能およびAKIのより高い病期への進行のリスクを評価するときにAKIの診断ツールとして使用することができる。
④フロセミドは腎臓機能を促進させる。→No
- フルセミドはAKI患者に著しい利尿をもたらす可能性があるが、これは腎機能に対するフルセミドの直接的な有益な効果ではなく、尿細管細胞が機能している徴候とみなされるべき。
- フロセミドの反復投与、特に高投与量および無尿症患者では、副作用、特に耳毒性の大幅な増加を招く可能性がある。
- 利尿薬に反応しない体液過剰の患者では、フロセミドの反復使用は適応外である。
⑤アルブミンとの併用はより効果的だ。→case by case
- 肝硬変や腹水症の患者を含む研究では、ループ利尿薬とアルブミンの投与(40mgのフロセミドと25gのアルブミン)でナトリウム利尿は促進されなかった。
- 対照的に、慢性腎臓病(CKD)と低アルブミン血症の24人の患者を対象としたRCTでは、フロセミドとアルブミンの併用で尿量の有意な増加が示された。しかし、24時間後には、もはや有意な差はみられなかった。
- 10の研究を含むメタアナリシスは、低アルブミン血症患者におけるフロセミドとアルブミンの併用で体液バランスのより良い管理ができた。
⑥持続投与は間欠投与よりも効果的。→No
- いくつかのRCTおよびメタアナリシスでは、フロセミドの持続投与は間欠投与と比較して、持続的な利尿を達成しやすいとされているが、死亡率、入院期間、腎機能障害、電解質異常などより良い転帰は確認できなかった。
⑦フロセミドはRRTを予防できる。→No
- 利尿薬に反応する場合、フロセミドの投与はRRTまでの時間を稼げることがある。あるメタアナリシスは、ループ利尿薬の投与がRRTの期間の短縮と関連していることを報告している。
- しかし、フロセミドは腎臓回復の可能性に直接的な影響はないかもしれない。the SPARK studyでは、初期のAKI患者における低用量のフルセミドとプラセボを比較したところ、AKIの増悪率またはRRTの必要性に差は見られなかった。
⑧フロセミドは無尿患者のRRT離脱させる。→No
- 利尿薬が腎臓の回復を誘発したり、クレアチニンクリアランスを改善するというエビデンスはない。
⑨AKI後のフロセミド誘発利尿は、完全な腎臓回復である。→No
- フロセミド投与はAKI患者の尿量増加につながる可能性があるが、AKI後のフロセミド誘発性の利尿は、腎臓の完全回復の兆候と考えてはならない。たった1回のAKI発症でもCKDや死亡率の増大のリスクとなる。
⑩血清クレアチニン増加時はフロセミドを中止する必要がある。これは腎機能の悪化を示す。→そうとも限らない。
- 急性心不全の多くの患者は、利尿薬療法中に0.3mg/dl以上の血清クレアチニンの上昇を示す。しかしながら、これらは腎機能の真の悪化でない可能性がある。
- クレアチニンは血清中濃度として測定されるので、ヘマトクリット値の上昇と組み合わせた血清クレアチニンの増加は、単に血管内容積の減少および効果的なうっ血除去の徴候かもしれない。つまりクレアチニン値の上昇が、良い結果と関連しているかもしれない。
- この現象はpseudo WRF (worsening renal function)と呼ばれる。FACTT trial (Fluids and Catheters Treatment Trial) でも同様の効果が観察されている。FACCT trialでは、利尿薬を使用したrestricted fluid therapyが人工呼吸器からの離脱を改善することを示したが、この際血清クレアチニンはほぼ0.3mg/dl増加した。にもかかわらず、このグループでRRTに至った症例は少なかった。
- それ、多くが右房内に認められる遺残弁です! 遺残弁は胎生期の遺残構造物である静脈洞弁。ユースタキオ弁, テべシウス弁, キアリ網の3つを確認しておきましょう!
- ユースタキオ弁 Eustachian valve は、心尖部四腔像で右房下方に,心窩部アプローチで下大静脈開口部に付着する膜様構造物として認められる(添付GIF参照)。
- テベシウス弁 Thebesian valve は、右室流入路長軸像で冠静脈洞開口部に膜様構造物として認められる。
- キアリ網 Chiari network は、傍胸骨短軸像や心尖部四腔像で右房 内を不規則に動く網状のエコーとして認められる。
- 脳梗塞では頭痛が起きないって本当?いいえ、必ずしもそうではありません!初回脳梗塞11,523人を対象とした台湾の後方研究では、頭痛を伴う脳梗塞は7.4%(848/ 11,523人)の頻度であったと報告されています。
- これらは、女性比率が高く、年齢が若い傾向にありました。発症部位は後方循環系、延髄、小脳、PCA領域に多かったとされます。また、頭痛を伴う脳梗塞患者は、頭痛がない場合と比べ有意に予後良好であり、これは交絡因子の調整後も同様でした。
- 頭痛を伴うとなぜ予後が良いのか?こちらの文献によると、三叉神経支配の軟髄膜動脈(lepto meningeal artery)が頭痛と関連しているかもしれないとのことです。脳梗塞に伴い軟髄膜動脈側副血行路が形成されると、頭痛が起こるが、それは良好な予後に関連しているかもと。面白いですね、詳しい方是非コメントを!
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